生活保護の住宅扶助見直し・引き下げ(減額)について

2015年06月13日

2015年1月に厚生労働省が「住宅扶助費用を減額する」と発表してから約半年。
実地予定が近づき、ご質問やご相談が相次いでおります。
今回は「生活保護の住宅扶助見直し・引き下げ(減額)について」お話させていただきます。

住宅扶助とは

生活保護受給者が住居にかかる費用を負担するための経済的援助のこと。
住宅扶助金額=家賃上限額を指します。

住宅扶助の見直し・引き下げ実地について

住宅扶助の基準見直しにより、来月2015年7月から引き下げが実施される予定です。
猶予期間として、7月以降の賃貸借契約の契約満了(契約更新月)の翌月からの適用とのこと。
※医療機関への通院に支障があるおそれがある場合などは、これまでの家賃を認められます。

住宅扶助の引き下げ額

地域や世帯人数、そして、新たに加わる「床面積」により住宅扶助の基準額が規定。
最大で月額1万円の減額見込みで、東京の一部地域に住む単身世帯で5万3700円から4万5000円と約9000円近く下がるとみられています。

住宅扶助の見直し・引き下げ理由

今回の生活保護の住宅扶助の見直し・引き下げ(減額)は、「住宅の質に見合った支給額にするため」の措置と言われています。
今まで無かった「床面積」という要素を新たに基準として加わえることにより、「シェアハウス」などとという体で、生活保護受給者を狭い1R等に何人も入居させて一人一人に限度額ぎりぎりの家賃を請求するような悪質な「貧困ビジネス」「不正受給」に対する防止策になると考えられています。

住宅扶助の見直し・引き下げによる生活保護受給者への影響

厚生労働省によると、生活保護を受給している161万世帯のうち、およそ44万世帯で現在の家賃が基準額を上回ると試算していて、転居を迫られる可能性があります。
来年度には、生活扶助費も260億円減額されることも決定しており、生活保護受給者の方の生活はさらに厳しいものになることが予想されます。

生活保護専門の不動産屋として思う事

結論として、住宅扶助の引き下げ実地により、生活保護受給者のお部屋探しは今までよりも更に難しいものとなることが想定されます。

まず、上記の「住宅扶助の見直し・引き下げによる生活保護受給者への影響」でも記載した通り、多くの生活保護世帯で転宅指導を受けることになるでしょう。
何故なら、貸主側は減額された分だけ賃料を下げなければなりません。
ですが、多くの大屋様は現在の賃料を下げるのに少なからず抵抗があるからです。

中には、生活保護受給者は家賃滞納が無いから(役所がお金を支払うので)と優先して住まわせる大家様もいますが、一般の方と比べて、生活保護受給者を自分の物件に住まわせるのはメリットがないと感じてしまう貸主側が増える恐れあります。

そうなれば、今ある生活保護受給者入居可物件は減少、なのに、引っ越しをしたい生活保護受給者は増加することになります。
最悪の場合、入居できる物件が見つからず新たな悪質な「貧困ビジネス」の餌食となり、新たな社会問題になる可能性だって考えられます。

そうなった際、国はどういった対策を行うのでしょうか。

弊社のように生活保護専門とうたう不動産は都内だけでも多くあります。
ですが、結局は「生活保護受給者が入居できる物件」を提案するもの。生活保護受給者が入居できる物件がゼロなら提案できる物件もゼロとなってしまいます。

住宅扶助引き下げにより、どう影響が出るのか実際のところはまだ誰にも分かりませんが、弊社では長年培ってきた大家様たちとの信頼関係を基に交渉や普及活動等を行なっていきたいと思います。

カテゴリー: 生活保護コラム