生活保護コラム:新幹線焼身自殺事件について思う事

2015年07月17日

※この事件について様々な御意見があると思います。あくまで一つの意見としてご覧いただきます様あらかじめご了承ください。

新幹線焼身自殺事件

事件の概要について。下記をご参考下さい。

2015年6月30日午前11時半頃、男は神奈川県小田原市付近を走行中の東海道新幹線「のぞみ225号」の先頭車両でガソリンをかぶり、焼身自殺を遂げた。
一種の“自殺テロ”といえる行為で、炎は天井が焼け落ちるほどだった。逃げ遅れた女性1人が死亡、28人が重軽傷を負う大惨事となった。

「男は黒焦げで、指紋と運転免許証で身元が判明した」(神奈川県警関係者)

男の名は東京都杉並区西荻北の無職、林崎春生(はるお)容疑者(71)。犯行前には周囲に、繰り返し年金の受給額の少なさと保険料や税金の高さへの憤りをぶつけていた。・・・(以下省略)

参照:Yahooニュース

記憶に残る衝撃的な事件でした。
この事件で何の罪もない女性が1人巻き込まれて亡くなっています。
犯人(以下「H」と呼称)が行った行為は絶対に許されることではありません。

しかし、何故、Hは焼身自殺という行為に手を出したのでしょうか。
この事件が起きてしまった原因について私たちは考えていかなければならないと思います。

何故、この事件が起きてしまったのか

報道では犯行の動機は「生活苦」と報じられています。

焼身自殺の数分前役所に
「生活ができないから最後のお金を持って新幹線に乗っている。区長と議員にお伝えください」
と電話をかけていることから間違いないでしょう。

生活苦ならば、生活保護制度を利用するという手があります。しかし、犯人は申請するなどの自衛手段は講じていなかったようです。

ここで1つの謎が浮かびます。
Hはそもそも「生活保護」という制度を知っていたかどうかです。

上記について、ネットで色々調べたのですが、残念ながら答えは分かりませんでした・・・(情報がありましたら教えていただけると幸いです)

現状では「生活保護」制度を知っていたかどうかは不明です。
ですが、Hは『生活保護を申請すれば受給することが可能だった』ようです。

詳しくは下記をご覧下さい。

Hさんは、焼身自殺の18日前にあたる6月12日、杉並区議に電話で「年金が少なくて生活が大変だ」と相談していたという。区議は、生活保護の申請が可能かどうかを確認する心づもりであったが、日程調整ができないまま6月30日のその日を迎えることになった(週刊朝日2015年7月17日号記事による)。

 その「少なくて大変」という年金額は、1ヵ月あたり12万円であったということだ。そもそも、生活保護の対象になる可能性はあったのだろうか? 東京都杉並区で、71歳の単身者に対する生活扶助は7万4630円。年金12万円から家賃4万円を差し引いた残りは8万円。単純にその金額だけを見れば、Hさんは生活保護の対象外ということになる。低年金の高齢者が、同様の状況で、実際に生活保護の対象外とされたケースもある(参考:稲葉剛氏公式サイト記事)。

実は生活保護の対象だった
年金月額12万円の年金生活者

 東京都内の福祉事務所でケースワーカー・査察指導員として勤務した経験を持つ社会福祉士・田川英信さん(前回参照)に、Hさんが生活保護を受けられたかどうか疑問をぶつけてみたところ、

「保護の対象になる可能性が高いです」

 という答えが、きっぱりした口調で返ってきた。

JR西荻窪駅付近の不動産屋に貼られていた物件案内。「生活保護の方、相談」という賃貸住宅を探すことは、この地域ではそれほど困難ではない
「東京23区内の、71歳の男性に対する生活保護基準は、生活扶助が7万4630円、住宅扶助の上限額が5万3800円、それらの合計の上限額は12万8430円です。年金の『月額12万円』が額面なのか手取りなのかは分かりませんが、もし額面が12万円だったら、介護保険料がだいたい5000円くらいですから、手取りは11万5000円くらいです」(田川さん)

 しかし、その11万5000円から家賃の4万円を引いても、7万5000円。生活扶助の月額よりも、わずかながら多い。やはり対象外なのではないだろうか?

「国民健康保険料も支払っているはずですよ」(田川さん)

 ちょうど私の手元にあった「杉並区国民健康保険料のご案内」を見てみると、例として、Hさんと同様の所得状況にある「杉並なみ男」氏の国民健康保険料が掲載されており、健康保険料は年額10万8800円である。仮にHさんの健康保険料が同額だったとすれば、1ヵ月あたり9067円。年金収入のうち、生活保護で「生活費」と認定される部分は6万5933円となる。生活扶助の7万4630円を、8697円下回る。Hさんの言っていた「年金月額12万円」が手取りであったとしても、3697円の不足となり、いずれにしても生活保護の受給資格を満たすことになる。・・・(以下省略)

参照:生活保護のリアル~私たちの明日は?|ダイヤモンド・オンライン

生活保護専門の不動産屋として思う事

Hが生活保護制度を知っていたのか、もしくは知っていたけども悩んでいた、拒んでいたのか、は私たちには分かりません。

ただ「生活苦」が動機であるのなら、「生活保護」という手段を利用して欲しかったと強く思います。

弊社では受給中の方でないとお部屋探しをお手伝いすることが出来ません。
ですので、申請前の方には福祉事務所へ申請するよう推奨しています。
誤解のないようにお伝えしますと、弊社は不動産屋であり、お部屋探しに関しては詳しくお話できますが、申請前の方については役所に行って手続きを行って下さいとしかお答えは出来ません。
ですが、お客様の状況を把握した上で、一時保護シェルターやNPO法人、相談センター等へご案内するなど、何かしら良い方向へ導くことは出来たと思います。
もし、Hと弊社がつながることができていれば、生活保護専門の不動産屋として何かしらはできたのではないか、と考えてしまいます。

焼身自殺は”抗議、もしくは何かのメッセージとしての自殺”という側面があります。

役所や国に対する「抗議」だったのかもしれません。
“自分と同じように苦しむ人がこれ以上生まれないように”という「メッセージ」を込めたのかもしれません。

遺書もなく本人も亡き今、Hが何を感じ、何を考え、何を思い、この事件を起こしたのか、永久に謎のままです。
そもそもHの素性や行動について多くの謎があり、「生活保護」を利用していたらこの惨事を防げたのかどうかさえも分かりません。

しかし、今回のような事件を、二度と起こしてはいけないということだけは明確です。

今後、ますます格差が広がり「生活苦」で悩まれる方々が増えていくと予想されます。
生活保護専門の不動産屋として、お部屋探しに関しては勿論の事、私たちが出来る範囲のことについて最善を尽くしていきたいと思います。

長文乱文、失礼いたしました。
最後に、今回の新幹線焼身自殺事件に巻き込まれ亡くなられた桑原佳子さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

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